稲田 環菜さん/早稲田大学ビジネススクール卒
プロフィール
お名前 | 稲田 環菜(いなだ かんな)さん |
---|---|
お仕事 | 株式会社WeFLY 代表取締役 http://wefly.co.jp/ |
MBA取得校 | 早稲田大学大学院 商学研究科ビジネス専攻(現:経営管理研究科) |
MBAを取るきっかけ
当初の進学目的は、部数減により長期で収益が減少し続けている新聞社で、新収益となる事業を提案し、社業回復に貢献するための知識と戦略を学ぶこと。
収益の殆どが国内事業に依存するため、海外メディア協業や他事業への投資機会検討のための知識も得たいと思いました。
MBAを取ってよかったこと
わたしにとって大学院での学びは、キャリアの価値観を変え、人生を自らの力で生きていくための覚悟と指標を設定する転機となりました。
優れた教授陣の指導、世代・業界・国籍の異なる仲間との討論による学び、そして在学中2度の留学機会*(香港・フランス)を得たことも、さらに視野を広げ、自分の弱さと向き合う大切な時間になりました。
*早稲田大学大学院在学中、箇所間協定により、香港中文大学ビジネススクール(The Chinese University of Hong Kong Business School)とリヨン経営大学院(Emlyon Business Scool)に留学。
大学院では、当初アントレプレナーやイノベーション・マネジメントを重点的に学び、その後人材・組織マネジメントのゼミに属しました。
修士論文では「海外留学生の日本就職に際したキャリアカウンセリングの可能性」について研究しましたが、この動機は交換留学で得た経験が出発点です。どちらの学校も就職や起業に向けたサポートは厚く、特に香港では、修了生によるメンター制度や企業による学内リクルーティングなど、将来を考える機会が数多く設けられていました。
翻って日本に帰国後実感したのは、自分より優秀な成績を修める外国人の友人たちが、言語の壁や日本の就職・就業環境への理解不足を抱えたまま就職活動に臨み、苦戦する姿でした。
わたしはもし彼ら彼女らが「相談できる人」や「就職の具体イメージとモチベーション」、「企業との遭遇機会」を持つことができたら、自らの力で成長しキャリアを開拓できるのではないかと考え、論文執筆のためのリサーチを行い、最終的にこれを自分の仕事にすることを決意しました。
起業後はおかげさまで多くの先輩方や友人に支えられ、コロナ禍の厳しい社会環境下に関わらず、事業を継続しています。
起業以前の自身のフワッとしたビジネスイメージを事業計画に落とし込む、ビジネスプランを作成する、先々の展望を構想するなど、様々な場面で大学院のネットワークに助けて頂きました。
最初の顧客は大学院の先輩でしたし、現在も先生方、先輩や同級生、そして在籍時期が重なっていない先輩・後輩の方々にも沢山のご縁を頂いています。
ビジネスは、自分自身の知識や経験、繋がりだけではどうにも解決できないことが多々あります。
そんな時に快く手を貸してくれたり、叱咤激励してもらえる、そんな相談相手がいることに日々感謝する思いです。
一昨年末より母校・早稲田大学ビジネススクール同窓会代表を務めていますが、今後は学内と学外(ビジネス)、修了生と在校生、日本人と外国人を繋ぐ取り組みに一層励み、わたし自身も周りの人に貢献できるよう努力したいと考えています。
現在のお仕事について
2018年春に大学院を修了後、同じ年の夏に起業し、現在はキャリアコンサルタントとして主に留学生の就職指導やセミナーでの講師登壇、企業の外国人社員に向けた研修・就業相談、企業の採用・広報とビジネスアライアンス開拓支援等の事業を行っています。
また、ソフトバンク社が設立した通信制大学のサイバー大学で、キャリア関連科目担当の非常勤講師に就き、未就業の学生に向けた指導と、大学の就職支援体制の改善プロジェクトに携わっています(こちらは日本人学生が主対象)。
昨今の学習環境の変化により、時間と場所を制限されないオンライン教育や遠隔指導は需要が高まっています。
技術革新によるビジネスの急速な進展から、社会で求められる能力も変化していると言えるでしょう。
通信教育で実現する社会人リカレント教育の側面からも、今後さらに多様な場でキャリア教育の実践と経験を積み、指導者として成長していきたいです。
今後の目標について
先の内容に重複しますが、キャリア教育、特に外国人就労支援とグローバル人材育成に関わる者として、さらに研鑽に努めたいと考えます。
自身の会社事業を発展させ、実務家教員として成長するため、今年は新たに
①BtoBtoCビジネスのスタート
②国際資格と国内国家試験に挑戦
を目標にしました。
このほかでは例えば語学学習や、日記をつける、SNSでこまめに発信する、など(皆さん取り組まれていると思いますが、個人的にはこれらのことが結構苦手です…)。
将来的には博士取得にも挑戦したいのですが、様々な事情を考慮するともう少し先になりそうです。
キャリアは個人の人生観と重なり、生きるための軸となります。
より多くの学生、社会人の方々と関わり、多様な価値観を理解し、一人ひとりが自ら勇気を持ち将来のキャリアに向かって一歩踏み出せるように、そんなサポートを心がけていきたいと思います。
これからMBAを取得しようと考えている方へ
大学院1年目の冬の集中授業で担当の先生が仰っていた、「Be professional」という言葉が深く心に刺さりましたので、ご紹介したいと思います。
「Keep looking. Don’t settle」、現状に安住せずに、挑戦を続けよう。
「Success is a choice」、成功は選択である。
なぜなら、「Whether you think you can or whether you think you can’t – you’re right anyway」あなたができると思っていても、あなたができないと思っていても、いずれにしてもあなたは正しいから。
当時のわたしは新聞社で働く会社員で、提携する海外大学院への交換留学が決まったものの、進退を悩んでいる時期でした。
ここで行けば、もう帰る場所はないかもしれない。
行ったからといってその先の人生のプラチナカードが約束されているわけでもない。
けれど、勇気を出さなければ何も変わらないのです。
自分の将来に対する曖昧な心を言い当てられたような衝撃を受け、教室の片隅でぶるぶる震えながらメモしたことを、いまも憶えています。
この言葉には、続きがあります。「Life isn’t about finding yourself. Life is about creating yourself.」人生とは自分を見つけることではなく、自分を創ること。
いまの立場があるのは、いままでの自分があるから。
この先どこにいても、どんな仕事をやっていても、大切なのはいまの自分がこれから何をするか、なのだと感じました。
社会や企業に変化を起こすのは簡単なことではありません。時に痛みや苦労が伴います。
ですが、だからこそ人の心を思い、人の力を信じ、ともに共存発展していけるのだと思います。
先にも申し上げましたが留学したから、MBAを取得したからといって、自動的に輝かしい将来が約束されるわけではありません。
しかし、そこで得た知識と経験、ネットワークは、多くの新しい気づきと自己内省をもたらしてくれるでしょう。
わたし自身も、大学院で得た学びと多くのご縁を、これから出会う人たちや未来の社会への貢献に役立てられるよう、今後も精励したいと思います。