国内MBAを取得するために教育訓練給付制度を利用できるか確認しよう
MBAの学費は2年間で、国公立なら100万円台、私大なら300万台と大きな金額となります。
ただし「貯金してこなかったからなぁ…」、「勉強したい気持ちは強いけど、お金が出せないよ…」と諦めるのはまだ早いです。
学費の補助として、「教育訓練給付制度」というものがあります。
今回は国内MBAを取得するために教育訓練給付制度を利用できるかについてご紹介いたします。
専門実践教育訓練給付金
教育訓練給付制度について詳しく見ていきましょう。
制度概要
教育訓練給付制度は国の制度です。
労働者の主体的なスキルアップを支援するため、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した場合、その費用の一部が支給される制度です。
参考:厚生労働省
・キャリアアップ・キャリアチェンジを目指す労働者の皆さまへ 教育訓練給付制度のご案内
・仕事のスキルアップ・資格取得をめざす皆さまへ 専門実践教育訓練の給付金のご案内
資格取得の補助として給付されるお金として知られていますが、これは国内MBAにも適用されます。
国内MBAの場合、給付金の種類としては「専門実践教育訓練給付金」に該当します。
「最大で受講費用の70%(年間上限56万円・最長4年)を受講者に支給」となっています。
2年間で最大112万円の給付となります(国公立のように学費が抑えられている場合、給付金額はこれよりも下がることがあります)。
給付には、条件があります。
正社員・パート・アルバイト・派遣社員は問いませんが、基本的には雇用保険に2年以上加入していることが必要です。
また、入学前(受講前)から手続きが必要です。
① 「訓練前キャリアコンサルティング」をハローワークで受ける
② 受給資格確認を、受講開始日の1か月前までに、住まいを管轄するハローワークで行う
③ 受講・修了
④ 支給申請を修了日の翌日から1か月以内に、住まいを管轄するハローワークで行う
大きくはこのステップで、期限内に行う必要があります。
給付額が大きな金額となるため、手続きには様々な書類を用意しなくてはなりません。
【受講前提出書類】
【支給申請の提出書類】
自分が給付対象であるか否か、どのような準備をいつすれば良いかについては、住まいを管轄するハローワークへ問い合わせをすると答えてもらえます。
申請の漏れや書類の間違いがないように、確かめながら行うのが良いでしょう。
指定講座
「厚生労働大臣が指定する教育訓練講座」でなくてはいけないため、指定されていないものを受けても給付金の対象にはなりません。国内MBAの場合、指定されている学校とされていない学校があります。
また、同一校であっても、コースによっては対象外の場合もあるため、学校に問い合わせると間違いがないでしょう。
ただし、指定は年度によって変わります。
検索時に該当していたとしてもご自身が受験する年に指定講座であるかどうかは学校のホームページを見る、問い合わせをするなどして確認しておきましょう。
自分の入学年度は給付対象から外れる、ということがあるためご注意ください。
まずはどこが対象になっているか知りたい、という方は厚生労働省の「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」で検索すると対象校が出てきます。
参考:教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム
専門職大学院(ビジネス・MOT)の検索結果 27校(2021年12月30日検索)
エリア | 区分 | 区分 | 学校名 |
---|---|---|---|
北海道 | 国立 | 通学 | 小樽商科大学大学院 |
兵庫県 | 国立 | 通学 | 神戸大学大学院 |
東京都 | 国立 | 通学 | 筑波大学大学院(夜間大学院) |
東京都 | 国立 | 通学 | 一橋大学大学院 |
山口県 | 国立 | 通学 | 山口大学大学院 |
香川県 | 国立 | 通学 | 香川大学大学院 |
福岡県 | 国立 | 通学 | 九州大学大学院 |
東京都 | 国立 | 通学 | 東京工業大学 |
東京都 | 国立 | 通学 | 東京農工大学大学院 |
兵庫県 | 県立 | 通学 | 兵庫県立大学大学院神戸商科キャンパス |
広島県 | 県立 | 通学 | 県立広島大学大学院 |
福岡県 | 市立 | 通学 | 北九州市立大学大学院 |
東京都 | 私立 | 通信 | SBI大学院大学 |
東京都 | 私立 | 通学 | 青山学院大学大学院 |
兵庫県 | 私立 | 通学 | 関西学院大学大学院 |
東京都 | 私立 | 通学・通信 | グロービス経営大学院大学 |
東京都 | 私立 | 通学 | 事業構想大学院大学 |
新潟県 | 私立 | 通学 | 事業創造大学院大学 |
東京都 | 私立 | 通学 | 大学院大学至善館 |
東京都 | 私立 | 通学 | 中央大学大学院 |
京都府 | 私立 | 通学 | 同志社大学 |
東京都 | 私立 | 通学 | 日本工業大学大学院 |
東京都 | 私立 | 通信 | ビジネス・ブレークスルー大学 |
東京都 | 私立 | 通学 | 法政大学大学院 |
東京都 | 私立 | 通学 | 明治大学大学院(専門職大学院) |
京都府 | 私立 | 通学 | 立命館大学大学院 |
東京都 | 私立 | 通学 | 早稲田大学大学院 |
奨学金との違い
専門実践教育訓練給付金と奨学金との違いは何と言っても給付(もらう)か貸与(かりる)かです。
国内MBAの奨学金についても少し触れておきます。
日本学生支援機構「平成30年度 学生生活調査」によると、大学生の約半分が奨学金を活用しています。
日本学生支援機構の奨学金の場合、学部生であれば、親の給与が基準より高くなければ、多くの場合は借りることができます。
利子無しの第一種貸与奨学金の場合は3人世帯で657万円、利子有りの第二種貸与奨学金の場合は3人世帯で1009万円を下回っていれば基準内です。
総務省が公開している「2020年 家計調査」の結果によると約636万円が日本人の平均的な世帯年収なので、奨学金の基準としてはあまりハードルは高くないでしょう。
一方で、社会人となりMBAに通うとなった場合はこの基準がかなり厳しくなります。
本人の収入(定職、アルバイト、父母等からの給付など本人が1年間に得た金額)と配偶者の定職収入の金額の合計額が、299万円以下の場合に対象となります(厳密には配偶者の収入によって、計算したものを加算します)。
国内MBAを目指している人であれば、学費以外に教科書代など様々な費用もかかるため、世帯年収で300万円を切ることは少ないのではないでしょうか。
一方で企業による公益財団法人が設けている奨学金には、給付のものが多くあります。
学校や指導教授からの推薦が必要であったり研究テーマによる選考を行うなど狭き門となっていますが、チャレンジしてみるのも良いでしょう。
先立つものがない、と諦める前に専門実践教育訓練給付金や奨学金について調べ、学ぶ機会を手にしましょう。