MBAを取得するメリットとは?MBAで培われる力と社内で活用するためには
現状の仕事に課題を感じ「何とかしなければ」という意志のもとMBAを志す人は少なくありません。
むしろ多くの方が、このような危機感から学びの必要性を感じています。
では、MBAホルダーとなった後、仕事において、社内において「何とかする」ことはできるのでしょうか。
今回はMBAを取得するメリット、MBAで培われる力と社内で活用するためについてご紹介いたします。
目次
MBAホルダーの人物像
社内において何とかできるかどうか。これはMBAホルダーの性質・性格・考え方などにも関係があると言えるでしょう。
MBAで学ぼうとする人は、前向きな人が多いと言えます。
日中働いてヘトヘトになった上に、自宅に帰らず学校に行き終電まで勉強する、土日も課題に追われる。
これを自ら選択するような人たちです。前向きなエネルギーがないと、なかなかできないことです。
このような人たちは、社内で結果を出している人であることが多いです。
そして、会社に求められた結果を出してはいるものの、そこから考えを広げて「市場の勢力図が変わりゆく中、数年後には自社の成長が鈍る、その前に何とかしよう」、「今は会社が成長しているが、より加速させるために自分は何ができるだろう」など考えます。
つまり、目の前の課題ではなく「そもそも何をすべきなのだっけ」と本質から考え、現状のまずさに気づく人たちです。
そして、それを見過ごせないという責任感も持ち合わせた人であることが多いと言えます。
MBAで培われる力
ここでは培われる力について書きますが、授業をただ受けているだけではあまり力を得られません。
授業で求められる以上の学びや、進んで周囲の学生と交流するなどの姿勢が問われます。
全体最適で考える力
上記のような人たちは、集中力が高く一つの業務を突き詰めます。その代わり他分野には疎かったりします。
「マーケティングの専門家であり財務諸表の理解が乏しかった」
「経理畑で人材育成や組織開発のことは専門外と思っていた」
「営業職でお客様の利益の最大化やお客様の業界知識は誰にも負けないが自社の全体戦略には疎かった」
このような声はよく聞きます。
自分の専門分野に別の分野知識が入ることで、これまでとは別の見方ができます。
部分(部門)最適と全体(全社)最適の両面から考えることができるようになり、さらには感覚的なアウトプットではなく、数値化や言語化して表現できるようになります。
学ぶ習慣
MBAを志す前は本を年に2、3冊しか読まなかったという人もいます。
ただしビジネススクールに入ってしまえば教科書に加え副読本にも目を通すことになります。
毎回の課題レポートを仕上げるために、参考文献なども読まなければなりません。
修士論文を書くためには、先行研究を数十本読むことになるでしょう。
限られた時間で膨大な資料を読む必要があるため「気が向いたら読む」というスタンスでは追いつきません。
早起きして読む、会社の昼休みや移動時間中に読む、寝る前に読むなど生活に組み込むことになります。
そして、本やデータを読んだら自らの分析を加えてアウトプットします。
分析を加えるには、自分に引き出しがなくてはできません。常に考え、アンテナを立てることでアウトプットができます。
2年間これを行うため、いつも考え続けるクセがつきます。
仲間
MBAの仲間は会社の同僚と違い利害関係がないので本音を話せます。
仕事や家庭、趣味のことなどを話せる友人もできるかもしれません。
先述のように、MBAで学ぶ人の多くは仕事で成果を上げている人が多いので、仕事の相談相手として適しているとも言えます。
まったく違う業界において、同じような課題に対してどのように対応するのかを相談すると、目からうろこの課題に対するアプローチ方法を得ることができます。
そして、個人的な付き合いの他、ゼミやOB会などで長期的に良い関係を築くことができます。
大変な学生生活を共にしているため、困っていると助けてくれる・ヒントをくれる人が現れます。
チャレンジする心
ビジネススクールに通っているのは会社員だけではありません。
有名企業の経営者や、スタートアップ企業の経営者、開業している士業の人たちなど、自分で経営に責任を負って戦っている人たちがたくさんいます。
不思議なことに彼ら彼女らと「同期」というだけで自分もできるのではないかという気持ちになります。
また、授業で使うケーススタディは海外の有名企業の事例も多く、自分が経営者の立場ならどう判断するかというお題で考える機会が多くあります。
「自分ならもっとうまくやるのに」という風に考えることもあるでしょう。
「経営者になろう」「経営できそう」とまでは思わなかったとしても、経営は意外と近い世界の話だと認識ができます。
社内の些細な問題や小さな争いなどは解決できるものに見えてきます。
ビジネススクールの課題において、学んだことを実際にやってみてどうだったか共有を行うことがあります。
入学前には大変な課題に見えたことも、些細なこととして認識でき、実は簡単に片付けられたということはよくあります。
そのような繰り返しにより、自信がついていきます。
社内変革を推進するには
以上のような本質に気づく力があり、前向きなエネルギーを持つ人物が、MBAで力を培ったら、社内変革を推進する力は備わっているはずです。
どう推進するかは、その会社が変化を受け入れる土壌があるか、ボトムアップでどのくらい意見が通るかなど慣習により難易度が変わりますが、ハードルが高すぎない場合の会社を前提に例を挙げます。
根拠を示す
「変革をしなければ!」と訴えるときに感情的や感覚的なことで押し通そうとしたり、自分の知り合いや少数のお客さまの声をかいつまんで伝えても会社は動きません。
変革しなければならない根拠が必要です。
市場データやお客様アンケート、競合他社の戦略や異業種や類似業種の責任者へのヒアリングなどを通し、誰が聞いてもわかりやすい根拠を示すことです。
MBAホルダーであれば、データの探し方も分析の仕方も身についていますし、競合他社や異業種、類似業界で要職に就いている人とのネットワークもあるはずです。
直接の知り合いでなくとも、その人たちの上司や先輩がつないでくれることもあります。
あらゆる手段を使って根拠を示すことができます。
権限を持つ人に伝わるように動く
会社員であればレポートラインを守らないとあとあと面倒なことになります。
いきなり社長に直談判ということは避けましょう。
まずは目の前の上司を動かすことです。
上司が皆、変革が必要と感じているわけではありません。
まずは根拠をもって示すこと、そして変革を経営陣へ提言することによって上司の評価が上がるように流れを持っていきます。
MBAでも根回しが必要なのか?と感じられるかもしれませんが、MBAだからこその根回しです。
最終目的は社内変革、会社の状態を良くすることです。
関係性が良くない上司に対して、美味しい思いをさせたくないという思いが湧くかもしれませんが、それは些細なことです。
自分がやる
根拠を示し、権限を持つ人に伝わるように動く、そしてそれを誰がやるかです。
まずは自分がやるという意思表示が重要です。
結果他の人が担当になることもありますし、プロジェクトチームが組まれて動くかもしれません。
自分がやるのだという覚悟をもって話を進めないと「結局口ばかりか」とかえってマイナスの印象を与えることにもなります。
自分が推進者になり動く前提でことを進めましょう。
社外にはMBAを通してたくさんの仲間ができています。
そこには、指導教官もいます。
困ったら、教授陣に尋ねることもできます。
強力なアドバイザーとともに課題に立ち向かっていると考えると心強いと思いませんか。
MBAを活かせない人
最後に、MBAホルダーになってもそれを活かせない人がいます。
卒業後はすっかり元通りの会社員生活に戻ってしまうこともあります。
もちろんそれには外的要因もあります。
強力なトップダウンで社員からの提案は一切受け入れない、課長や部長などの中間管理職が「余計なことをするな」と意図的にブロックするなどそのような会社では変革どころか些細な改善も難しいかもしれません。
そのような環境ではない会社においても、MBAを活かせないのは、2年間の学生時代の学び方にあると考えます。
例えばMBAに座学をしに来ている人、学術的な内容を学びに来ている人です。
学びたいのであれば専門職大学院ではなく、修士をとり研究者を養成する学校があるので、そちらに行くべきであったかもしれません。
また、客観的になりすぎている人です。
これはケースの中だけの話である、これはこの業界のこの職種で起こりうる話であると自分に応用させないと身になりません。
そして学生間の交流を避けている場合、授業外の議論に混ざれず、学びの応用例や発展例を知ることなく卒業してしまいます。
目的意識が不明確なままMBAホルダーになろうとしたり、憧れの大学を母校にしたいと考えて入学するとこのような事態になるでしょう。
「MBAは行く価値がない」と、元MBAで教鞭をとっていた先生で主張している方もいます。
そのような本やビジネス書のコラムで目にした人もいると思いますが、学び方や目的の置き方によって個人差が大きく一概には言えません。
学びは受け取るものではなく掴み取るものと考えて、2年間過ごすことをお勧めします。