国内ビジネススクール(MBA)の選び方のポイントについて解説

近年では国内ビジネススクール(MBA)の人気が高まっており、学校によってさまざまな特徴があります。

例えば国公立・私立、パートタイム・フルタイム、通学かオンラインかなどがあり、学校のイメージや知名度だけではなく、総合的に考えてみてどの学校を選ぶと自分の目標が達成できるのかが重要です。

今回は国内ビジネススクール(MBA)の選び方のポイントについて解説いたします。

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国公立か私立か

まずポイントとして挙げたいのが国公立か私立かといった点になります。それぞれの違いについて見ていきましょう。

学費

国公立と私立で大きな違いは何と言っても学費でしょう。

国公立のビジネススクールの多くが2年間で支払う学費は110~160万円程度です。

一方で私立はこの2倍以上がかかります。

中には法政大学大学院経営学研究科(法政ビジネススクール)のように150万円程度の学費のところもありますが、多くは300万円以上です。

国内で最も学費が高い慶應ビジネススクールにおいては約440万円がかかります。

学費に関しては多くの人が気になり、判断材料にする点でしょう。

ただ、お金を最優先して学校選びをすることはお勧めしません。

自分に合わない学校を選んでしまうと2年間、学びを楽しめず嫌々通うことにもなりかねません。

そして、お金を最優先にしなくて良い理由はもう一つあります。

ビジネススクールは卒業生に知識や知恵をもって社会で活躍してもらうことを目指しています。

よって、卒業後は現在の年収よりも高くなっている可能性が大きいのです。

卒業後は年収を上げるのだ、という意気込みがある人や予定のある人は、将来の収入も踏まえて検討してはいかがでしょうか。

規模

国公立は私立よりも比較的規模が小さいことが挙げられます。

国公立の場合は30名程度、私立は100名以上と設定しているところが多いです。

ただし、大都市圏以外のエリアでは私立であっても数十名の定員であることはあります。

学生の人数が少ないと、それに伴い教員の数も少なくなります。

規模が小さいメリットとしては、距離が近いことです。

教員に1対1で質問ができ、指導いただける機会にも恵まれます。

同期や先輩後輩とも密なコミュニケーションができるため深い議論や学びを行いやすい環境とも言えます。

一方で私立の場合は規模が大きいため、多種多様な人とネットワークが広がるチャンスがあると言えるでしょう。

これはビジネス上大きなメリットとなり、ネットワークを得るために私立のビジネススクールに行く人もいます。

仮に1学年が100人だとして、在学中の2年間で先輩100人、後輩100人と約300人のネットワークを築くことも可能です。

また、教員数も多いため、同じく教員ともつながりをもつことができます。

ただし、規模が小さくとも自分の行動によりネットワークは広げられます。

MBA生は学内完結ではなく、他大学との交流も行います。

ゼミ同士の交流を行っていたり、旗振り役の人がMBA交流会を設定したりすることもありますので、そのような機会をうまく使う意志や行動力があれば、ネットワークは広げていくことができるでしょう。

カリキュラム

国公立は、私立に比べると座学や理論中心と言われることがあります。

私立は国公立に比べるとケーススタディやフィールドワーク、企業への提言や新規ビジネスモデルをプレゼンテーションするような実務に近い授業が多いとです。

アカデミックな研究を行いたい意向が強ければ国公立がおすすめですし、実務で使えるような知識や経験を重視するのであれば私立がおすすめです。

私立の中には修士論文が必須では無い学校もありますので、事前に調べておきましょう。

国公立と私立の違いまとめ

上記を簡単にまとめると下記のようになります。

個別の学校については各校のホームページや入試説明会などで教員、在校生や卒業生の話をご参考にしてみましょう。

国公立 私立
卒業までの学費 110~160万円 150~440万円
学年の規模 30名程度 100名~
※大都市圏以外の学校は定員が少ないことも
カリキュラム 比較的理論を重視した内容 比較的実践を重視した内容

パートタイムかフルタイムか

続いて通学時間帯についてパートタイムとフルタイムを見ていきましょう。

修了要件

パートタイムとは平日夜間と土曜日の日中、もしくは土日に通学する時間割の学校で、フルタイムは平日の日中に通学する時間割の学校です。

パートタイムは昼間お仕事をしながらそれ以外の時間を学校に充てる通い方です。

フルタイムは会社を休職・退職、もしくは経営者が自身の仕事を調整して学ぶ通い方になります。

同じ学校にパートタイムとフルタイムが用意されている場合、修了要件(取得単位数や論文)はほぼ変わりありません。

学費が多少変わる場合がありますが、基本は同じです。

どちらが楽というものではありません。

会社員をしながら通うパートタイムは昼も夜もやるべきことに追われるため、とにかく忙しくなります。

一方、朝から晩まで勉強に時間を費やすフルタイムは課題量が多く深掘りして考察することが求められるため、こちらも休む間はありません。

いずれもレポートやプレゼンテーションなど学びからのハイレベルなアウトプットを求められます。

フルタイムの方が、勉強に集中しやすい環境ということは言えるでしょう。

フルタイムの中には1年で卒業できる学校もありますが、パートタイムでは2年コースとなります。

学生の層

フルタイムの場合、1〜2年もの間収入無しで学ぶという大きな決断をすることになります。

一般的な会社員がその決断をして通学している場合もありますが、企業派遣や後継者育成の意味で通っていることもよくあります。

若いうちに投資をするため、20代中盤くらいの世代が多くなります。

一方でパートタイムの場合は自分の収入から学費を捻出して支払うため、それなりの安定した収入がもらえる年次の会社員、30代中盤くらいの世代が多い傾向になります。

どちらの仲間と一緒に学びたいかも学校選びのポイントになるのではないでしょうか。

パートタイムとフルタイムの違いまとめ

上記を簡単にまとめると下記のようになります。

パートタイム フルタイム
時間割 ・平日夜+土曜日日中
・土曜日+日曜日
・平日日中
修了要件 同じ学校ならフルタイム変わらない 同じ学校ならパートタイムと変わらない
学生の層 ・会社員(自費)が多い
・30代中盤が多い
・会社員(企業派遣)や後継者が多い
・20代中盤が多い

知名度

ビジネススクールの知名度

ビジネススクールは学部の知名度とは切り離して考えた方が良いでしょう。

ビジネススクールの入学試験では、これまでの仕事における実績と論理的に考える力が問われます。

学部に入学するときのような記憶重視の筆記試験ではなく、ビジネススクールの学びに堪えうる力を養ってきた人かどうかを見られます。

倍率は認知度がある有名校の方が高い傾向ですが、修了までの難易度や学びの濃さには比例しません。

ビジネススクールは教えてもらうところではなく、自分で学び取る場所です。

学部のように皆から遅れを取らないように一緒に学ぶ場ではありません。

興味のある分野があれば、教授に直接尋ね、一人で深めていくこともできます。

教授の知名度

自分が学びたい分野が明確であれば、どのような教授が在籍しているかも確認しましょう。

ただし、その先生を目当てに入学するということはあまりおすすめしません。

途中で他大学に移ることもあれば、サバティカルと言って授業を持たない研究期間に入ることもあるからです。

また、先生が高齢の場合は定年退職のタイミングも考慮しましょう。

入学したら目当ての先生がいなかったという理由でモチベーションが下がるという話もよくあります。

テレビやメディアによく出ている有名教授や有名企業の元経営者のような有名教授のもとで学びたいというミーハーな理由で学校を選ぶこともあまりおすすめできません。

その教授の専門が自分の学びたい分野と合っているか、論文や出版されている本などを読み、教授のホームページがあれば確認しておきましょう。

オンラインか通学か

勉強をしたいけどビジネススクールが近くになかったり、子供を家において夜学校に行くことが難しいなど様々な事情があると思います。

そんな時にオンラインMBAが選択肢にあると良いでしょう。

オンラインMBAで勘違いしがちな点として「安い」、「いつでも受講できる」です。

まず、費用は2年間通う学校と基本的に大きくは変わりません。

オンラインMBAで有名なグロービスやビジネスブレークスルーでは学費は入学金など合わせて300万円以上かかります。

また、録画ではなく、リアルタイムでディスカッションを行います。通信教育の動画を見るのとはわけが違います。

画面越しであっても自分の考えを伝えることが求められます。

デメリットとしては、画面上のコミュニケーションであるため、気軽に話したり友人関係に至るには時間がかかります。

例えば通学であれば、授業の中で4、5人のグループを作って10分ほど議論をしたら授業後には名刺交換したり「この後ちょっと飲みに行きませんか」というコミュニケーションも可能ですが、オンラインでは画面上の10分の議論からそこまで発展させるのは難しいでしょう。

授業前後やたまたま廊下や食堂で顔御合わせて雑談をする機会もないため、雑談からインスパイアされたり、実際の取引が生まれるような偶発性が得られないということも挙げられます。

自分の置かれた環境で通学が難しい状況であれば、オンラインMBAで学ぶチャンスを得ることができます。

一方でデメリットもあることを踏まえて検討することが良いでしょう。

EMBA

EMBA(Executive MBA)という選択肢があります。

MBAは経営学の知識を得るために通うため若手や課長以下の層が学生の大半です。

一方でEMBAは既に経営を行っている企業幹部が多く、40代以上の方が多く通っています。

幹部育成のため大手企業からの企業派遣であることも多く、ノンディグリー(学位取得無し)であることもあります。

企業派遣ではなくEMBAを目指す場合は、各校へ詳細を確認しましょう。

社会人経験が15年以上、20年以上など要件も厳しく定められています。

費用も通常のMBAよりも割高で慶應義塾大学では2年間で約700万円、早稲田大学では1年間で約230万円がかかります。

EMBAは会社からの費用で行く方がほとんどで、期間もMBAと比べて短く数ヶ月程度で修了できるため、既に経営者や経営幹部である方はEMBAも検討してはいかがでしょうか。

しっかりと事前調査を行い学校選びをしよう

ビジネススクールを選ぶ上で考慮した方が良いポイントを複数ご紹介しました。

「有名校に入りたい」、「安いから国公立しか選択肢がない」など、一つの側面を見て入学すると後悔することもあるかもしれません。

なぜMBAなのか、どうして学ぼうと思ったのか、そのきっかけはなんだったのか。初心を忘れずに学校選びをしましょう。

この記事を書いた人
この記事をかいた人 太田 卓(MBAゼミナール プログラムディレクター・講師)証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2017年7月株式会社Milkyways設立。2022年より国内ビジネススクール(MBA)の入学対策予備校・塾であるMBAゼミナールをスタート。 早稲田大学大学院商学研究科専門職課程ビジネス専攻(現:経営管理研究科)修了。