国内MBAの試験の倍率が上がっているのはなぜか?

これからMBA入学を考えている方であれば、志望校の倍率がどのくらいか気になると思いますが、タイトルの通り国内MBAの試験の倍率は、この数年でかなり上がっています。

今回はその原因と、倍率が上がっても合格するための対策についてご紹介いたします。

国内MBAの試験の倍率が上がっている理由とは

国内MBAの試験の倍率が上がっている理由にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

新型コロナウイルスの影響

2020年に新型コロナウイルス(以下コロナ)が流行し、多くの会社がリモートワークに舵を切りました。

そのため、通勤時間が無くなり、営業などの外出が減り、業務に拘束される時間が短くなった方も多いのではないでしょうか。

このような環境の中で自分のキャリアを見直す時間ができ、勉強やスキルアップを望む人が増え選択肢としてMBAを考える人が増えたのではないでしょうか。

ただし、コロナをきっかけにMBAを志望する人には2つのタイプがあります。

①危機を目の前にして奮起したタイプ
例:コロナ禍においても揺るがないビジネス基盤を作りたい、コロナ禍においても揺るがない普遍的なビジネスの考え方を身に着けたいなど

②時間ができたから何かやろうと思ったタイプ
例:家で仕事の空き時間で勉強しよう、取引が止まっているし暇になったからMBAでも挑戦してみるかなど

②のタイプはコロナが終息すればMBA熱も冷めるでしょう。

一方で①のタイプは「このままではだめだ」との想いがモチベーションになっているため、コロナ終息後もMBAへの挑戦を続けるではないでしょうか。

MBAの認知度向上

MBAの認知度向上

日本でもMBAが定着してきており、ビジネススクールの増加と合わせて認知度向上も原因として考えられます。

認知度に関しては大きく分けて3つのルートで広がっています。

各校の広報

各校がマスメディアに広告を出したり、イベントに出展・独自開催をするなどして学生を呼び込む努力をしています。

特にメディアをうまく活用しているのは早稲田大学ビジネススクール(WBS)で、「MBA Essentials」というWBSのMBA教育のエッセンスを気軽に体感できるプログラムの開催を2012年から開催しています。

これに伴い日経新聞上での広告、WEB広告など多く投下しています。

また、教員もTV出演に積極的です。

入山章栄教授はテレビ東京のワールドビジネスサテライト、長内厚教授はフジテレビのLive News αでコメンテーターとして活躍されています。

メディア

MBA関連のメディアが増えていることが挙げられます。

■雑誌
・スタディサプリ社会人大学院2022年度版 〈大特集〉院は、最高の自己投資。(リクルート,2021年8月)
・自分を広げる「学び」が見つかる!大学院・通信制大学2022(朝日新聞出版,2021年7月)

例に挙げた雑誌は毎年出版されており、MBAコースを新たに設ける大学も増えているため、年々分厚く読み応えのある内容になっています。

■書籍
・グロービスMBA関連書籍(クリティカルシンキング・経営戦略・マーケティング・ファイナンスなどダイヤモンド社から多数出版)
・名古屋商科大学ビジネススクール ケースメソッドMBA実況中継(経営戦略とマーケティング・行動経済学などディスカヴァー・トゥエンティワンから出版)
・MBAのアカウンティングが10時間でざっと学べる(西山 茂,KADOKAWA,2020年11月)
・MBAの経営戦略が10時間でざっと学べる(菅野 寛,KADOKAWA,2020年7月)
・世界標準の経営理論(入山章栄,ダイヤモンド社,2019年12月)

書籍は筆者がビジネススクールの教員であることが多く、一般企業の管理職研修の教科書としても用いられることが多いです。

研修で感銘を受けた管理職がMBAに挑戦しようと奮起する事例もよくあります。

卒業生による口コミ

例えばパートタイムMBAは、昼は会社で働き夜は定時に切り上げ学校に向かい、深夜まで講義を受けたり仲間とディスカッションしたりします。

講義がない日も課題に取り組まなくてはいけません。

このような生活は一見辛そうですが、多くの人は楽しんでいます。

業界・職種・年齢などバラバラな同級生と利害関係なく深く議論することは知的好奇心をくすぐられますし、MBAで一生の友人や、結婚相手を見つける人もいます。

卒業後も「あの2年間は辛かったけどやり切って良かった」という感想を口にする人が大半です。

全国のMBAで毎年卒業する人数は4,000〜5,000人くらいと考えると、過去からの積み上げでは数万人にはなっています。

数万人が口コミをし続ければ、年々認知度が上がるのは必然でしょう。

人気校への受験者集中について

「国内MBAの倍率がかなり上がった」と冒頭で述べましたが、国内MBA全体で見ると1倍を切っている学校はたくさんあります。

倍率が上がっているのは一部の学校で、人気校と言われている早稲田大学、慶應義塾大学、一橋大学のMBAコースにおいては、年々競争が激化しています。

また、MARCHと言われる明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学も人気です。

国内MBAを目指す人の多くは社会人であるため、夜間に設置されたコースにおいては顕著に倍率が上がっています。

主要校の倍率の変化をみてみましょう。

学校名 2017年4月入学 2020年4月入学
フルタイム(昼)早稲田大学(全日制グローバル) 5.1 6.2
フルタイム(昼)慶応義塾大学 2.2 3.5
フルタイム(昼)一橋大学(経営分析) 5.1 2.8
パートタイム(夜)早稲田大学(夜間主総合) 2.4 4.1
パートタイム(夜)早稲田大学(夜間主プロフェッショナル) 2.4 2.4
パートタイム(夜)一橋大学(経営管理) 4.0 5.0

全日制MBAの倍率

パートタイムMBAの倍率

参考:「慶應、一橋…ビジネススクールの後悔しない選び方、社会人MBA志望者が急増!予備校受講が2倍」(DIAMOND online)

一橋大学は2017年に夜間に学べる経営管理コースができたので、それまで倍率の高かった昼の時間に学ぶ経営分析コースから分散したと考えられます。

それ以外のコースでは、ほぼ倍率が上がっていることが分かります。

また、早稲田大学と慶応義塾大学では、例年行われている筆記試験が2年連続中止でした。

長時間試験会場に留めることでコロナの感染リスクに晒すことはできない、という配慮からですが「受験勉強をしなくていい」、「準備が楽」と捉えた人たちの受験も増えているのではないでしょうか。

人気校の受験対策について

人気校の受験対策について

ここまで国内MBAの試験の倍率が上がっているのはなぜか?について説明してきました。

「こんなに倍率が上がっているのなら、自分は無理かもしれない。MBAはあきらめよう…」という考えになるのはまだ早いです。

  • 敵を知る
  • 自分を知る
  • 十分な時間をかけた対策

この3つの観点で国内MBAを目指すかどうかを検討してはいかがでしょうか。

敵を知る

上述しましたが、「コロナ禍で時間ができたので、なんとなくMBAを目指す」、「筆記試験が中止になったから受けてみる」という層が少なくありません。

主体的にMBAの情報を集め、筆記試験を突破してでも入学したいという強い意志のある層だけで比べると、大きく倍率は変わっていないのではないでしょうか。

見た目の数字だけに惑わされることはありません。

自分を知る

MBAに通う理由としては経営に関する知識を得ることや人脈を作ることなどが目的であって「〇〇大学のMBAコースに通うこと」が目的ではないはずです。

倍率が高いから、有名大学だからを理由に目指すのは本質からずれているかもしれません。

自分が学びたい内容の講義がある学校を選びましょう。シラバスを公開している学校もあります。

複数校の説明会に参加してOBOG、教員などとコミュニケーションをとり、自分に合う学校がどこか見極めましょう。

もちろんその上で倍率の高い学校が志望校になる場合もあると思います。

十分な時間をかけた対策

倍率の高い人気校を志望しているのであれば、やはり十分な時間をかけた対策が必要になってきます。

研究計画書の作成や過去問対策、どのような教授や授業があるのかなどを調べることはもちろん、現在通われている方や卒業生の方に話を聞いてみるのがおすすめです。

例えば早稲田大学と慶応義塾大学では筆記試験が無くなっていることから、研究計画書のウエイトが以前よりも高くなっている事が予想されます。

なぜMBAに行くのか、なぜこの学校なのか、何を学びたいのかといったことを論理的に、そして自分自身の問題意識を元に説得力がある構成で考えてみましょう。

書類に関しては自分だけではなく、第三者にもチェックしてもらう事がおすすめです。

しっかりとした対策を行ってチャレンジしてみよう

認知度とともに人気校では倍率も上がっている国内MBAですが、それを理由に諦めないでしっかりとした対策を行ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

強い意志で受験対策をすること、自分は何を学びたいのか・何を得たいのかを改めて考えてマッチする学校を選べば、道は拓けてくるはずです。

それでもあまり自信がない場合にはMBAゼミナールで受験対策を一緒にしていくことを検討していただければと思います。

この記事を書いた人
この記事をかいた人 太田 卓(MBAゼミナール プログラムディレクター・講師)証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2017年7月株式会社Milkyways設立。 早稲田大学大学院商学研究科専門職課程ビジネス専攻(現:経営管理研究科)修了。