国内MBAを卒業するためには学校にもよりますが、2年間で約200万円~400万円の費用がかかります。

また、平日あるいは土日を使って授業やゼミ活動にも集中して取り組む必要があります。

しかし、それでもなお、「国内MBAは取得しても意味がない、割に合わない」、という意見がネット等のなかで散見されます。

今回は国内MBAを取得することは意味があるのかについてご紹介いたします。

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国内MBAを取得することは意味があるのか

国内MBAを取得することは意味があるのか?という質問の回答を先に申し上げると「人による」ということになります。

理由としては海外ビジネススクールも含めてですが、MBAはあくまでも学位であって弁護士や会計士のような国家資格ではありません。

ご存知の通りMBAを取得していないで活躍している経営者やビジネスパーソンの方が圧倒的に多く、そのような方から見ると「なぜわざわざMBAを取得する必要があるのか?」といった疑問が湧くと思います。

新卒のままビジネススクールに進学した方を除いた場合、基本的には過去の実務経験を元に判断されることとなります。

実務で実績を上げていることに加えて「アカデミックな知識やネットワークをMBAで持っている」といった方であれば強みとなりますが、ただMBAを取得したといった事実にはあまり付加価値がつかないことが多いのではないでしょうか。

国内MBAに対する誤解とは?

割に合わないという意味では掛かる費用と時間に対して効果が上がらない、すなわち元が取れないと感じている方がいるものと考えられますので、「費用対効果」の観点で見ていきたいと思います。

コスト(費用)の観点

まずはコストに関して考えてみましょう。前述の通り2年間で約200万円~400万円の費用がかかります。

また、コストという広い意味では、修了までに費やす時間も考慮する必要がありそうです。

卒業するには必要単位を取得する必要があるため、授業中だけでなくケーススタディーの読み込みやレポートの準備にも時間をかける必要があります。

修士論文の作成のためには、テーマ選定とテーマに沿った先行研究の調査や取材、論文作成のために時間を使います。

在学期間中においてはこのような時間を捻出するために、特にパートタイム(夜間)コースに通う方は日中のお仕事との兼ね合いだけでなく、家族サービスも考えておく必要があります。

効果の観点

続いて効果の観点について見ていきましょう。

国内MBAを修了したにもかかわらず、スキルアップした実感がない、自社内における昇進・昇格が実現しない。

また、転職を希望している方であれば、希望した企業から内定がもらえない、など期待した効果がえられない、という状況が考えられます。

ビジネススクールでの学びというものはビジネスパーソンとしてのレベルアップには繋がる可能性が高いですが、すぐに結果として出ないことも十分に考えられることは事前に知っておくべきだと思います。

誤解が生じる原因と対策とは?

次に、そのような誤解が生じる原因と対策を考えていきましょう。

本業や家庭に対する影響が生じている

まず、コスト面についてですが、MBA取得に費やす時間がかかりすぎて、本業や家庭に支障をきたしている可能性があります。

これに対する対策は3つです。

1つ目は、より効率的な時間の使い方ができないか再検討してみることです。

例えば、授業や論文の準備を行うに際して、先に仮説ベースでゴールをイメージした上で、逆算してタスクごとに大まかなスケジュール作成します。

本業や家庭の時間を侵食することを回避できるかもしれません。

また、同期の学生に「壁打ち」相手になってもらって、ブレインストーミングしながらレポートや論文の解像度をあげていくなど、一人で考え込まず、客観的な視点を取り入れるのも有効かもしれません。

これから入学を検討している方の場合であれば、入学時期を再検討することも考えられます。

本業にしても家庭にしてもMBAの取得に集中できるベストな環境が整うまでは、勇気を出して入学時期を遅らせることを検討すべきかもしれません。

インプットとアウトプットの質に問題がある

次に、MBAを修了してもスキルアップした実感が得られないという問題についてですが、これはインプットとアウトプットの質に原因があるかもしれません。

MBAにおいては、ロジカルシンキングやフレームワークを用いて、経営課題に対する問題解決の疑似体験を繰り返し行っていきます。

ただし、MBAは万能ではありません。

実務の場面においてはMBAで学んだ理論を単純にあてはめるだけで簡単に解決できる問題ばかりではないでしょう。

そのような方については、目の前で起きている真の課題を理解し、社内の関係者の利害関係なども踏まえた上で、より丁寧な解決策を検討していく必要があると思います。

普段の関係作りも含めて、その場のロジックだけで解決できない要因にも着目する必要もあるかもしれません。

短期視点でなく、長期視点で考える

MBAを取得しても会社で昇進・昇格できない、あるいは希望する転職先からの内定が得られない、という問題については、視野が狭くなっていることが原因の可能性があります。

この場合は、短期視点から長期視点に意識を切り替えることが有効と考えます。

まずは、自分が描いているキャリアビジョンから逆算した上でMBAの価値を考えてみましょう。

長い目で見て、自分がどのようなキャリアを歩み、最終的にどのようなゴールに到達したいのかを考えるのです。

MBAを修了もしくは在学中の方でも昇進・昇格したという事例や、優良企業への転職が決まり年収がアップした、などという事例も聞こえてくるでしょう。

そのようなときにおいても、自分のキャリアにおける長期視点を意識し、すぐにMBAの効果が現れなくても焦らず、どっしりと構える姿勢が大事なのではないでしょうか。

国内MBAの本当の価値とは何か

ここまでで、「国内MBAに対する誤解についての原因と対策」を考えてきましたが、最後に、国内MBAの価値、特に所属する企業の中だけでは得られない価値とは何かについて考えていきます。

多様な人脈を形成できる

ビジネススクールの中ではビジネスのプロである教員の方々や、多様な業界に属する学生、海外からの留学生など、様々なバックグラウンドをもつビジネスパーソンが集います。

このように多様な人脈を築くことで、新たな価値観やスキルを獲得したりすることによって視野を広げることができるでしょう。

将来的なビジネスネットワークにも繋がる可能性も十分に考えられます。

特に今後も日本でビジネスを行なっていこうと考えている方にとっては非常に有益になると思います。

幅広いビジネス理論を学ぶことができる

ビジネス理論とは、ビジネスをする上でのルールや知識のことを指しますが、ビジネスに関わる社会人であれば当然知っておくべきものです。

ところが、ビジネススクールに通わなければ得ることのできない知識は多く、MBAを目指していない社会人は、断片的にその都度学習しなければなりません。

MBAを取得することを通じて、ビジネスの基礎を体系的・網羅的に学ぶことができるメリットがあります。

論文執筆の経験が蓄積できる

多くのビジネススクールにおいて、MBAの学位を取得するためには、学位論文を執筆しなければなりません。

担当教員の指導の元で学術的な論文を書けるようになれば、自然と論理的・思考力・情報の収集と分析能力など、実務でも活用できるスキルが習得することができるでしょう。

また、論文の執筆を経験することで「相手に分かりやすく物事を伝える」能力も培うことができるため、実務的に有効なスキルとなるでしょう。

国内MBAを取得するメリットとデメリットについて考えてから検討するのがおすすめ

近年国内MBAは人気が高まっており、受験者数や卒業生も増えている傾向にあります。

卒業した方からお話を聞くと「行ってよかった」という方がほとんどですので、行く価値が十分にあったという意見も多く聞かれます。

ただし、まだ企業側での評価が高いといったわけではありませんので、浸透するまでにはもう少し時間がかかるのではないでしょうか。

それなりに時間とお金を掛けて通うこととなりますので、国内MBAを取得するメリットとデメリットについては個人差も大きいと思いますので、自分にとって費用対効果が合うのかどうか考えてから検討するのがおすすめです。

この記事を書いた人
この記事をかいた人 太田 卓(MBAゼミナール プログラムディレクター・講師)証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2017年7月株式会社Milkyways設立。2022年より国内ビジネススクール(MBA)の入学対策予備校・塾であるMBAゼミナールをスタート。 早稲田大学大学院商学研究科専門職課程ビジネス専攻(現:経営管理研究科)修了。