ビジネススクールで学ぶケースメソッド、ケーススタディ授業とは

ハーバードビジネススクールなど海外の有名MBAだけでなく、国内における多くのビジネススクールでも「ケースメソッド」、「ケーススタディ」が取り入れられています。

ビジネススクールに関心がある方であればケースメソッド授業の目的を理解した上で、実際のMBA授業のイメージを掴んでおく事が重要です。

今回はビジネススクールで学ぶケースメソッド、ケーススタディ授業についてご紹介いたします。

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「ケース」とは何か、どのような課題が与えられるのか

ケースメソッドやケーススタディと呼ばれる授業がビジネススクールでは多いですが、この2つについての違いを明確に使い分けている学校や教員はそこまで多くはないため、ほぼ同意義として考えていただいて大丈夫です。

ケースの内容

ケースでは国内外における企業が抱える問題を取り扱っていきます。

ケースで多いのが企業の経営者やリーダー達が抱える問題や苦悩を物語化して生々しく描写されています。

MBAの授業においては当事者になったと仮定して解決すべき問題や苦悩を疑似体験することで考える力を養っていくことが求められるのです。

受講生自身が自社において同じような問題に遭遇したときに、リーダーとしてどのように考え、対処すべきかを身につけていきます。

そのために授業の準備として「ケース」を読み込み、与えられた課題に対してレポートを準備し提出する。

授業本番では講師や受講生とともに、双方向に建設的な議論を行っていきます。

一連の流れを繰り返していく中で、ケースにおける個別具体的な話が再現性のある知見に昇華していくのです。

MBAではケースで何を学ばせたいのか

MBAではケースで何を学ばせたいのか

「ケースメソッド授業」を行う理由としてビジネススクール側は何を学ばせたいのかを考えていきます。

結論からいうと、「問題発見能力」と「問題解決能力」を向上させるというのがその目的となります。

例えば、ある企業の中の一事業の売上が低迷し赤字に陥ったというケースがあり、その事業の責任者としてどのように対処していくべきか、という課題が与えられたとします。

この課題が与えられたとき、まず行うべきは「現状分析」です。

ケースを読み込み、外部環境の観点、内部環境の観点から、現在置かれている状況を正しく分析すること。

その上で、「問題発見」を行っていきます。

具体的には、現在置かれている状況を正しく分析して何が問題なのかと言うことを発見していきます。

この場合、外部環境の観点からそもそもその事業の将来性が低いのか。

将来性があったとしても、競合と比較したときに競争優位性が発揮できていないのか。

または内部環境の観点から、ヒト・モノ・カネ等の経営資源の投入方法に問題があるのか、など、具体的な問題点を発見していきます。

その「問題発見」を正しく行った上で、どのようなアクション、つまり「解決策」について考えていく。

この一連のプロセスを繰り返し行うことによって、受講生の「問題発見能力」と「問題解決能力」を向上させていくことが「ケースメソッド授業」の目的と言えるでしょう。

マッキンゼーのフレームワーク「雲・雨・傘」

実際に「現状分析」から「問題発見」、そして「解決策」までのプロセスをどのように行っていけばよいのでしょうか。

これを考える上で有名なマッキンゼーのフレームワーク「雲・雨・傘」をご紹介します。

マッキンゼーのフレームワーク「雲・雨・傘」

雲:空に雲がある ⇒ 全員が確認できる「事実」
雨:雨が振りそう ⇒ 事実に基づいた「解釈」
傘:傘を持つ ⇒ 解釈に基づいた「判断や行動」

まず「雲」が意味することは何か。これは誰が見ても同じ「事実」です。

つまり、ケースに書かれている情報や、ケースの参考として添付されたデータなどが該当します。

ところが、この「雲」を見たうえで、皆同じことを感じるでしょうか。

今日雨が降るのかしれない思う人、または、今日は太陽が出ないから涼しいかもしれない、と思う人など、人によって異なる。

つまり、この「雨」が指しているのは「解釈」です。

そして、最後の「傘」というのは、雨が降るかもしれないと解釈した人がその問題に対して行うアクション、つまり「解決策」となります。

ではなぜ人によって解釈が異なるのか。

それは、問題の捉え方が人によって、あるいは立場によって異なるからです。

したがって、そのプロセスのなかで、ビジネス上縛りをかけていく。

つまり、「雲」から「雨」を正しくとロジカルシンキングで考えられているか。

またはその場面に応じたフレームワークで考えられているかどうか、がポイントになってくるのです。

現状分析に対して、ロジカルな解釈、フレームワークに基づく解釈ができていれば、適切な問題を発見でき、問題解決の糸口を見いだすことができるでしょう。

MBAでロジカルシンキング・フレームワークを学ぶ理由

MBAでロジカルシンキング・フレームワークを学ぶ理由

ビジネスの中では意思決定をするときに様々な分析や解釈が求められますが、ある程度共通した考え方や枠組みを元に議論することで意思決定のスピード感や説得力を持たせることが出来ます。

そのための手法として代表的な考え方がロジカルシンキングであり、枠組みがフレームワークです。

フレームワークは有名なものから新しいものまで含めると数百種類はあると言われており、一部の経営コンサルタントだけではなく、ビジネスリーダーならある程度使いこなすことが求められます。

MBAにおいても、ケースを通してこの技術を徹底的に鍛えられます。

フレームワークは利用する際のコツがあり、必ずしも万能ではありませんが、世間で知られているものの多くは経営者や経営学者などが試行錯誤を繰り返してできており、それだけ使い勝手や効率も高いものが多いです。

経営において他の方を説得するためにはロジカルシンキングが必要であり、勘や自身の経験だけではなく建設的な議論を元に進めていくことが求められることが多いのではないでしょうか。

また、代表的なフレームワークはビジネスの場でも利用されていることが多いため、自分だけが知らないと議論に参加できなかったり、いちいち調べて利用するには時間と経験も必要です。

ビジネスで活躍できるビジネスパーソンを輩出することを目的としているMBAとしては、基礎的なレベルアップを図るという意味でも1年目からケースを通じてロジカルシンキング・フレームワークを習得していきます。

この記事を書いた人
この記事をかいた人 太田 卓(MBAゼミナール プログラムディレクター・講師)証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2017年7月株式会社Milkyways設立。2022年より国内ビジネススクール(MBA)の入学対策予備校・塾であるMBAゼミナールをスタート。 早稲田大学大学院商学研究科専門職課程ビジネス専攻(現:経営管理研究科)修了。