ビジネススクールにおけるオンライン授業の実態とは

テクノロジーの進化に加え、近年の新型コロナウイルス感染拡大という外部環境の急激な変化を受けて、従来の教室型授業のみならず、オンライン型の授業を取り入れているビジネススクールが拡大しています。

ただし、その導入方法は様々で一部の授業においてのみオンライン授業を取り入れているところもあれば、全てオンラインでMBAが取得できる学校もあります。

今回はビジネススクールで行われる教室型授業とオンライン授業の特徴を紹介したいと思います。

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教室型授業とオンライン授業

ビジネススクールで行われる授業のスタイルにはいくつかの種類がありますが、大きく分けて以下の4パターンになります。

教室型授業とオンライン授業

横軸がリアル形式かオンライン形式で、縦軸が双方向か一方通行かを示しています。

この双方向というのは、授業の中で先生と学生あるいは学生同士が同時にディスカッションを行うことを行うことができるかどうか、一方通行というのは講義中心で、聴くことが中心の授業であるかどうかを示しています。

ビジネススクールでは双方向か一方通行の授業どちらが多いのかという点については、双方向で行っている学校が多いです。

ではなぜ、ビジネススクールでは、双方向が主流なのか。

ポイントは、受講生の立場から見たときの学習効果です。

下図は、「ラーニングピラミッド」というもので、学習方法と学習定着率の関係性を研究したものです。

ピラミッドの土台に近いほど学習効果が高いと思ってください。

ラーニングピラミッド

この図では、「講義を受ける」だけでは5%程度の学習定着率しか生まないことを示しています。

つまり、「講義を受ける」だけではなく、「議論する」、「教える」といったアウトプットを通さないと、学習定着率は向上しない、ということです。

授業でインプットした知識を、ディスカッションを通じて即座にアウトプットする。つまり、双方向の授業を取り入れる理由が分かるのではないでしょうか。

特に、ハーバードなど海外のビジネススクールはケースメソッド教育という形で双方向の授業を行っており、国内でもこの形式を取り入れているビジネススクールが多い印象です。

日本では慶應ビジネススクールが最初にハーバード型のケースメソッドを取り入れた授業を始め、現在では名古屋商科大学ビジネススクールなど100%ケースメソッド授業を取り入れている学校も存在します。

オンライン授業のメリットについて

では、オンライン授業にはどんなメリットが存在するのかを見ていきましょう。

通学が困難な場所からもMBAが取得できる

教室への通学が不要となりますので、物理的に通学が困難な場所からもMBA取得が可能、またはMBAに必要となる単位取得が可能となります。

現在海外に住んでいる方が日本語で受講できる国内のビジネススクールを受講したい、といったニーズがある人にとっては大きな利点ですね。

逆に、海外のビジネススクールに日本からオンライン授業で参加するという選択肢も可能になります。

時間の有効活用ができる

自宅からオンラインで授業に参加できるため、通学のための時間が削減できます。

業務と勉強の兼ね合いに不安を持っている方、少しでも効率的に学びたい、負担を軽減したいという方にはメリットですね。

子供が小さくてなかなか家から出るのが難しいといった場合でもオンラインでしたらなんとか時間を作る事ができるという方もいるのではないでしょうか。

オンライン授業のデメリットについて

続いてオンライン授業のデメリットについて見ていきましょう。

他の参加者の反応がわかりづらい

教室型授業と比較すると授業の質という意味では課題が存在します。

例えばZoom等を使ったオンライン授業では、先生や特定の生徒が発言している間、他の参加者が発言できない状態となります。

そのため参加者の反応が分かりづらく、授業の熱量が高まりづらい場合が多いです。

また、参加者が同時に話すことができないため、議論を建設的に積み上げるのが難しいワイガヤになりづらいと言えるでしょう。

オンラインシステムでグループ分けする機能もありますが、やはり対面形式と比べると他の参加者の情報が限られてしまうといった制約が発生してしまいます。

ネットワークを作りづらい

教室型授業の場合、休憩時間や授業が終わった後に生徒同士で雑談や食事に行ったりする事が気軽にできます。

授業中に分からないことがあれば、直接先生のところに聞きに行くこともできるでしょう。

しかし、オンライン授業の場合はいずれも難しいです。

オンライン授業の場合には授業終了後に接続が断ち切られ、先生や友人との間で余韻に浸ることができません。

Zoomでの懇親会ということも可能ですが、オフラインで直接会って話す、触れ合うという体験には及ばないと思います。

したがって、ネットワーキングという観点では、教室型授業と比較するとデメリットがあるということになります。

ビジネススクールでのネットワーキングは大きな財産にもなりますので、

自分の生活スタイルを踏まえて教室型授業とオンライン授業を選択しよう

物理的に通学が不要となるオンライン授業については、海外在住者やビジネススクールが近くに存在しない遠隔地に住む学生、業務以外の負担を最低限に減らしたい学生にとっては大きな利点と言えます。

その一方で、オンラインという特性上、参加者の反応が把握しずらい・ネットワーキングが形成しづらいというデメリットも存在します。

いずれにしてもMBA取得を検討するに際して自分はどうありたいのか、そしてどういう目的でMBAを取得したいのかを軸として考えてみる事がおすすめです。

どういう基準でビジネススクールを選択するのか、その場合の受講形式は教室型か、オンライン型かよく考えた上で出願を検討してみましょう。

対面形式とオンラインの両方を取り入れている学校もありますし、状況によっては入学年度によって変わる場合もありますので、事前に各学校へ確認しておく事もしておきましょう。

この記事を書いた人
この記事をかいた人 太田 卓(MBAゼミナール プログラムディレクター・講師)証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2017年7月株式会社Milkyways設立。2022年より国内ビジネススクール(MBA)の入学対策予備校・塾であるMBAゼミナールをスタート。 早稲田大学大学院商学研究科専門職課程ビジネス専攻(現:経営管理研究科)修了。