近年では日本国内でもビジネススクール(MBA)が増えており、生徒数も1年で7,000人程度が入学していると見られております。

その中で女性の比率が高まっている学校も増えており、ビジネススクールの女性比率が高まっている背景と女性のキャリアについてご紹介いたします。

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アメリカでは女性比率が半数を超えている学校も

まずは海外のビジネススクールについて見ていきましょう。

例えば米国初のビジネススクールとして1881年に設立されたペンシルベニア大学ウォートン・スクールでは、2023年度(Class of 2025)に初めて女性比率が50%に達したことが話題になりました。

参考:https://mba.wharton.upenn.edu/diversity-at-wharton/

背景としては2020年に初の女性学長となったエリカ・ジェームズさんが就任したことも女性出願者の増加に繋がったようです。

23年1月からは日本の女性向けにリーダー育成講座をオンラインで開講しており、ジェームズ氏は「日本が競争力のある国であり続けるには、女性の才能を発掘し活用することが必要だ」と指摘しています。

また、2023年の他校の女性比率も見てみると、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院の女性比率は49%、ボストン大学ビジネス・クエストロム・スクールは48%、ハーバードビジネススクールは46%とほぼ半数を占めているようです。

欧米の主要校では女性比率が概ね30%から40%程度の学校が多いように見受けられます。

日本国内のビジネススクールにおける女性比率について

続いて日本のビジネススクールについて見ていきましょう。

一橋ビジネススクール

一橋ビジネススクールの2022年度における男女比率を見てみると、経営分析(昼)が男52%:女48%、経営管理(夜)が男76%:女24%、金融戦略・経営財務(夜)男91%:女9%となっており、昼間のコースでは半々くらいの割合になっているようです。

参考:https://www.ba.hub.hit-u.ac.jp/examinee/

青山ビジネススクール

青山ビジネススクールではデイタイムコースが40%、イブニングコースが26%となっております。

参考:https://www.aoyamabs.jp/value/fact_sheet.html

京都大学経営大学院

また、京都大学経営大学院は女性比率が44%と、こちらも比較的高いデータとなっておりました。

参考:https://www.gsm.kyoto-u.ac.jp/about/data/

男女比率を公開していない学校も多いですが、昼間のコースの方が夜間コースと比べて女性比率が高い傾向が見受けられそうです。

ビジネススクールの女性比率が高まっている背景について

ビジネススクールの女性比率は徐々に高まっており、今後も増加が見込まれていますが、なぜ女性比率が高まっているのでしょうか。

女性の活躍の場が増えた

昔から優秀な女性は多かったと思いますが、女性の活躍の場が増えたことでビジネススクールに進学するモチベーションや、卒業後の学費の投資回収が見込みやすくなったことが挙げられるでしょう。

令和5年に発表された女性版骨太の方針2023において、2025年までに上場企業における女性役員を最低1人確保という数値目標を掲げており、2030年までにアメリカの水準のような女性役員比率30%という数値目標が提示されました。

現在は弁護士や公認会計士など女性の社外取締役を起用することで女性比率を高めている企業が多く見受けられますが、既に社外取締役を担える女性人材は逼迫しており、中長期的に見ると社内での常勤役員の育成や中途採用をしていく必要性が高まってくるのではないかと予想されます。

MBAは資格ではありませんが、実務以外にアカデミックな要素も取り入れることで、高度人材になる可能性も上がります。

女性の研究科長が増えた

上述したペンシルベニア大学ウォートン・スクールのエリカ・ジェームズさんのように、日本でも女性の研究科長が増えてきていることも挙げられるでしょう。

例えば中央大学ビジネススクール、同志社ビジネススクールが女性の研究科長となっております。

企業でも役員に女性がいる方が女性比率が高いように感じており、今後も増えていくかもしれません。

働いている女性が通いやすくなった

リモートワークの増加や育児休暇の取得率向上などにより、働いている女性が学校に通いやすくなったことも挙げられると思います。

夜間コースは比較的女性比率が低い学校がまだ多いと予想されるため、共働きや子供が小さい家庭では周りのサポートも重要になってくるでしょう。

ビジネススクールに通っている女性のキャリア

最後にビジネススクールに通っている女性のキャリアについて見ていきましょう。

キャリアについては人それぞれ目標や考え方があるので一概には言えませんが、ビジネススクールに通っている男性も女性も基本的には経営層を目指している方や、既に経営層でさらに成果を出すことに繋げていきたいという向上心を持った方が多いです。

お金と時間をかけて経営学を学びに行っているのですから当然かもしれません。

しかし、ビジネススクールに通っている女性が全員思い描いた良いキャリアになるわけではありません。

ビジネススクールに通っていてもいなくても、男性でも女性でも、最終的にはお仕事で実績を残して結果を出していかなくてはいけないからです。

各校で女性のキャリアについてのコンテンツやイベントなども定期的に行われている場合も多いので、気になる学校があれば調べてみることをおすすめします。

参考:立命館大学ビジネススクール MBA女性院生によるクロストーク<座談会> ~女性のキャリアについて~
https://www.ritsumei.ac.jp/mba/topics/detail/?id=7

ビジネススクールでの学びや経験をどのようにキャリアに活かしていくかは結局のところ自分次第になりますが、一緒に勉強した方や知り合う仲間は卒業後も有益になる場合も多いという方が多いです。

中にはなんとなくビジネススクールに興味を持って入学する方もいますが、ご自身のキャリアプランを考えた上で自分にとって必要かどうか、良いタイミングかどうかを考えた上で受験対策を行うのがおすすめです。

なお、MBAゼミナール受講生の女性比率は約30%となっております。

この記事を書いた人
この記事をかいた人 太田 卓(MBAゼミナール プログラムディレクター・講師)証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2017年7月株式会社Milkyways設立。2022年より国内ビジネススクール(MBA)の入学対策予備校・塾であるMBAゼミナールをスタート。 早稲田大学大学院商学研究科専門職課程ビジネス専攻(現:経営管理研究科)修了。